生後11ヶ月。 歯みがきをおえた長男の両足に、金具でつながれた装具をはめる。
終わりの日は、最初から決まっていました。生後3ヶ月、装具を始めたときに「4歳の誕生日まで」と言われていました。
それでも毎晩、まだまだ終わらないと思っていました。——終わってみたら、あっという間でした。
先天性内反足の治療で、長男の装具生活は生後3ヶ月から始まりました。最初は終日、生後11ヶ月からは夜だけ。夜間の装具は、そこから4歳の誕生日まで続きました。
この記事では、その「夜だけ」の約3年間をわが家がどう回していたかを正直に書きます。
つける時間帯を決めた理由、嫌がった日にどうしたか、トイレや旅行のとき、そして卒業した日のことまで。
わが家の体験です。治療の進め方や装具の扱いは一人ひとり違うので、気になることは主治医に確認してくださいね。
「夜だけでいいですよ」と言われた日


生後11ヶ月。長男が自分で立つようになった日の受診で、装具が夜間だけになりました。
それまでは終日の装着でした。生後3ヶ月の装具デビューから、8ヶ月間ずっとです。
慣れなくて、昼も夜もギャン泣きでした。だから「夜だけ」と言われたときは、正直ほっとしました。
——ただ、終わりの日はもう聞いていました。「4歳の誕生日まで」。夜だけになっても、その日はまだ3年先でした。
装具はデニス・ブラウン装具といって、両足を金具のバーでつなぐタイプです。左右の足の向きが固定されるので、寝返りも歩きも、普通とは同じにいきません。
つけるのは「寝る前」と決めた


わが家は、眠ってからではなく寝る前につけると決めていました。
理由は、寝てからつけると、夜中に目が覚めたときに足に装具がついていることにパニックになってしまうからです。
自分が眠った時と足の状態が違う。それが本人にはこわかったんだと思います。
だから、歯みがきや絵本と同じ列に装具を並べました。「これをやったら寝る」の中に入れてしまう。毎日つけることを習慣にしてしまうほうが、結果的にラクでした。
正直に書くと、それでもうまくいかない日はあります。
どうしても嫌がって、結局は眠ってからそっとつけた日。「あとでつけよう」と思っていたのに自分が先に寝落ちして、夜中に起きてあわててつけた日。
毎晩きれいに回っていたわけではありません。
はたらく車のアップリケを、バーに

当時の長男は、はたらく車が好きでした。
装具のバーにはカバーを巻いていたのですが、そこに、はたらく車の刺繍アップリケをつけました。
自分の装具に好きなものがついている。それだけで、つけるときの気分が変わります。
2歳をすぎたら、理由を話すようにした
2歳をすぎたあたりから、言葉での説明がだいぶ通じるようになりました。
そこからは「なんでつけるのか」を少しずつ話すようにしています。一度で伝わるものではないので、毎晩、少しずつ。

「わかってもらう」というより、「知らないままつけさせない」に近い感覚でした。
眠るときの工夫
きょうだいとは別の布団にした
寝るときの布団は分けていました。
装具は金具です。同じ布団で寝ていると、寝返りのたびに当たります。別布団にするのがいちばん確実でした。
親の顔が、足側に来ないようにする
わたし自身も、寝ている長男の足が顔に当たって痛い思いをしました。
なので、寝る位置を決めるときは、自分の顔が長男の足側に来ないようにしていました。並び方を変えるだけなので、これは今日からできます◎
いちばん大変だったのは、夜のトイレ

トイレに行くようになってからが、いちばん大変でした。
夜中にトイレで起きても、装具をつけたままだと一人では行けません。
だから、起きて、声をかけて、装具のバーだけ外して、すべらないように手をつないで歩いていく。
あるいは、装具をつけたまま抱っこして、便座に座らせる。
その日の本人の状態と、わたしの体力で使い分けていました。
旅行と帰省で、持っていくかどうかを分けた
- 1泊の旅行:持っていかない
- 帰省:持って帰る
この線引きにしていました。日数が短いのか、いつもの生活がそのまま移動するのか。そこで分けた形です。
3年続けられた理由
続けられた理由は、根性ではありません。比べる対象があったからです。
再発して、もう一度手術になること。 毎日、夜だけ装具をつけること。
この2つを並べたときに、再手術のほうが本人の負担は大きいと思っていました。だから毎晩つける。
逆に言えば、その比較がなかったら、途中で気持ちが折れていたかもしれません。
「今日はいいか」と思う夜は、何度もありました。そのたびにこの比べ方に戻っていた気がします。
双子の妊娠中と、管理入院のあいだ
この夜間装具の期間は、双子の妊娠と重なっていました。
妊娠中に困ったのは、寝る場所です。眠っているときに装具がお腹に当たると危ないので、わたしは端で寝るようにしていました。
そして管理入院。ここは自分では動けません。
それまで装具をつけるのは、基本的に毎日わたしの役目でした。だから入院のあいだの通院と装具の装着は、夫に引き継ぎました。「毎日つけてね」と念押しして。

治療は、親のどちらかが倒れたら止まる、という性質のものではありません。渡せる形にしておくことも、続けるための準備のひとつでした。
装具を卒業した日

4歳の誕生日を迎えたころ。転勤で今の土地に引っ越してきて、2回目の受診で完全卒業の許可が出ました。
その日は、ケーキを買ってお祝いしました。
最後にもう一度、本人がノリノリで装具をつけて、写真を撮りました。それから、装具をつけていたころの写真や、手術した日の写真と動画を、一緒に見ました。
あんなに毎晩つけていた装具が、その日を最後になくなる。 ——終わるときは、あっけないほど普通の日でした。
今の通院は、半年に1回です。
同じ治療中のママへ
夜間装具は、期間が長いです。
うちは約3年でした。毎晩つけて、嫌がられて、寝落ちして、夜中に起きてつけて——その繰り返しの中に、卒業の日がありました。
続けられたのは、うまくやったからではありません。「つけ忘れた日もあったけど、だいたい毎日つけた」の積み重ねです。

1日できなかったからといって、そこで全部が崩れるわけではありませんでした。
今つけている最中のママに、この記事が届くと嬉しいです◎
治療の進め方や卒業の時期は、一人ひとり違います。判断に迷うことがあれば、主治医に相談してくださいね。
まとめ
わが家の夜間装具(生後11ヶ月〜4歳の誕生日)で効いたことをまとめます。
- つけるのは寝る前。眠ってからつけると、夜中に起きたときパニックになるため
- 装具を「歯みがき・絵本」と同じ寝る前の流れに入れて、習慣にしてしまう
- バーのカバーに本人の好きなもの(わが家ははたらく車の刺繍アップリケ)
- 2歳すぎたら、つける理由を少しずつ話す
- 寝具はきょうだいと別布団。親は顔が足側に来ない位置で寝る
- 夜のトイレは、バーだけ外して歩くか装具のまま抱っこで便座
- 旅行(1泊)は持っていかない、帰省は持ち帰る
- 迷ったときの軸は「再手術と、毎日つけること、どちらが本人の負担か」
今日ひとつだけ試すなら、寝る位置を変えることです。親の顔が足側に来ないように並び直すだけで、夜の痛い思いがひとつ減ります。
長男の治療全体(ギプス12回・手術・装具デビューまで)は、こちらに書いています。



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